太陽と虎×ノクモン×イナズマ
音楽が、僕らをここまで
連れてきた

太陽と虎×ノクモン×イナズマ
音楽が、僕らをここまで
連れてきた

音楽と食は、切っても切れない関係だ。

現代の私たちは、ホットドッグを片手にフェスで体を揺らし、イケてる音楽が流れるバーで一杯飲む。でもきっと石器時代だって、巨大なマンモスを仕留めた日には火とお肉を囲みながら手を叩き、祖先たちは陽気な声を上げていたんじゃないかと思う(たぶん)。

とにかく、食べることと音を楽しむこと。その二つはずっと、誰かと感情を分かち合う場の中心にあったはず。

今回、テンチョーカイギに登場するのは、地元・神戸の音楽と食のシーンを走り続ける3人。

The AVERY’S IRISH PUB』にて。取材中は終始和やかなムード!

阪神・淡路大震災の記憶と教訓を次世代へつなぐチャリティー音楽フェス『COMING KOBE』や、ライブハウス『MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎』を担う上田佑吏

神戸発のロックバンド『KNOCK OUT MONKEY』(通称・ノクモン)のドラマーであり、飲食店も営む松下直道

そして、実は元バンドマン。2人と親交が深い『日本酒バル・米屋 イナズマ』の店長・清水龍生

全3回で届けるクロストーク。第1回は、3人をつないできた音楽と飲食をめぐる記憶から。

PROFILE

松下直道
KNOCK OUT MONKEYドラマー/NOM株式会社代表取締役。神戸発のスケート&アパレルブランド『RideMe』や、フード&バー『Ride MINATO』『串かつ でんちゃん』の運営も手がけている。結成25周年を記念し、全国ツアー「UPSIDE DOWN TOUR2026」を開催中。
上田佑吏(ゆうり)
株式会社パインフィールズ代表取締役。『MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎』やチャリティー音楽フェス『COMING KOBE』の運営、アーティストのマネージメントやグッズ制作などのほか、鉄板酒場『月のうさぎ』など飲食業も担う。
清水龍生
『日本酒バル・米屋 イナズマ』店長。長年にわたり飲食の現場に立ち、神戸→東京→神戸へカムバック。料理人&店長として神戸の店づくりに携わっている。実は元バンドマンで、松下とは20年以上の付き合い。

3人をつないだ音楽の不思議なご縁

松下
松下
しみっぺと出会ったんは16歳ぐらいかな? 音楽をやってる共通の友人がいたんですよ。
当時は髪の毛がオレンジで、革ジャンを着てました。
初対面は総合運動公園で楽器を練習してるときで……あ、これはちょっと記事にはできないか(笑)
清水
清水
開始早々から(笑)。僕の10〜20代は、アウトな話ばっかりっすよ!
ちなみに松ちゃんとは、その後も同じアルバイト先で働いてたんですよ。バンドマンが集まる、三宮の伝説の串かつ屋でした。
上田
上田
うわぁ〜、なんかいいっすね。出会い方がイケてる!
僕が直道さんに会ったのは高校生ぐらいやったかなと思います。ハーバーランドにある直道さんのお店にもよく行っていました。当時付き合っていた、今の奥さんが連れて行ってくれたんですよ。
松下
松下
そこで、松原さん(上田さんの父で、COMING KOBE発起人の松原裕さん)の息子だと知ったんですよね。コロナ禍になってからは、うちの店でよくリモート授業を受けてたよね。
2026年に21年目を迎えた、COMING KOBEの会場の雰囲気。(写真提供:COMING KOBE実行委員会)
上田
上田
はい。直道さんには出演も協賛もしていただいていて。ずっとお世話になってます。
松下
松下
COMING KOBEに初めて出たのは、僕が28歳ぐらいのときかな。ずっと憧れてたけど、なかなか出られなかったイベントです。
ちょっと現金なイベントなんでね……。
上田
上田
ちょっとぉー!そんなことないですよ!?
なんでそんなこと言うんすか!(笑)

音楽のそばに、いつも飲食があった

松下
松下
僕の飲食の扉を開いたんは、しみっぺやで。
清水
清水
え、なんで?
松下
松下
オムライスの作り方とか、おでんの出汁の取り方とか、料理をまったく知らない僕に教えてくれて。当時から彼は料理がめっちゃ上手やったんですよ。
上田
上田
へぇ〜!清水さんはその串カツ屋で料理のノウハウを学んだんですか?
清水
清水
いや、そういうわけじゃないんよ。もともと料理は好きやったし、ほかの飲食店でもバイトしてたし。
串カツ屋を辞めてからは大手の飲食会社に入って、主任や料理長としても働いてました。思い切って東京でも挑戦したんやけど、コロナ禍を機にまた神戸に戻ってきて。
松下
松下
音楽活動をメインにしながらも、僕もずっと飲食はやりたいと思ってた。
ハーバーランドのライブハウス『Harbor Studio』の2階でアパレルショップをやってたんやけど、その近くにある赤いコンテナが空いたので、1階を飲食、2階をアパレルにした店をつくったのが最初かな。
閉店後、『RideMe』はもともと店舗を構えていたライブハウス2階へ戻り、飲食店は三宮へ移転。『Ride MINATO』として再スタートし、2周年を迎えたばかり。
清水
清水
そっか。飲食はやってみたかったんやね!
松下
松下
そうそう。それから、『串かつ でんちゃん』をバンドメンバーのdEnkA(デンカ)と一緒に立ち上げたのが2022年。ちょうどコロナ禍でバンド活動ができなくなって、これはホンマにヤバいなと思ってた。
で、音楽のほかに自分は何ができるかと考えたときに、「串かつじゃない?」と。あの店で7〜8年も働いてたからね。
上田
上田
コロナがいつ終わるかわからへんのに、ほんま勝負に出たなと思ってました。すごいです。
松下
松下
やっぱり人が好きなんで、みんなが集まれる場所を作りたかったというか。僕自身が人に拾ってもらって、人に助けられてきた人生やからね。そんな場所になったらいいなって。
なんか真面目な話やね(笑)

神戸から、若い才能にチャンスを

コロナ禍を機に、飲食の道にもさらに踏み込んだ松下。一方、上田が神戸の音楽シーンで力を注いでいるのは、若いアーティストのために新しいチャンスを生み出すことだ。

上田
上田
ライブができる場所があって、音源を作って、配信して、グッズも作る。神戸ですべて完結できる形にしたくて。大阪や東京じゃなく、神戸から発信できたらと考えています。
松下
松下
オーディションイベントもやってるもんなぁ。

※官民合同のオーディション形式にて若き才能を世に送り出す、全国初の行政共催のオーディション『Battle de egg』。COMING KOBEの出場枠をはじめとするアワードがある。審査員には、KNOCK OUT MONKEYのボーカルw-shun(シュン)さんも。

上田
上田
はい。チャンスをつかもうと思ったら、みんな東京へ行くじゃないですか? でも、逆に東京から神戸へ来てもらって、神戸でチャンスをつかめる場所をつくりたいんです。
特に、若いアーティストのサポートが大切やと思っています。
清水
清水
それを26歳でやってるのが、まずすごいよ。お父さんから会社を引き継いで、社長になったのが19歳でしょ?
この若さで神戸を引っ張ろうとしてる人って、周りになかなかおらんでしょ。
上田
上田
2016年に父親のがんが判明したんです。当時高校生だった僕は、漠然と音楽で生きていきたいとは思ってたものの、会社を継ごうなんて考えもなくて。
松下
松下
なんか転機があったん?
上田
上田
2018年に『24時間テレビ』で父のことを取り上げてもらったんですよ。
親父からは、「明日の夜、何してる?坂上忍さんがうちに来るから、家におってくれへんかな」って電話がありました(笑)
松下
松下
えぇ〜!?(笑)
松原さんのブログより(2018.8.27)
上田
上田
坂上さんからのインタビューを受けたあと、うちで一緒に麻雀しました。
それから武道館でも出演させてもらったんです。で、「佑吏君はこれからどうしたいのかな?」とふられて。
テレビということもあるし、自分なりに考えた結果、僕は「父の会社を継ぎたいと思ってます!」と答えたんですよ(笑)
清水
清水
まさかの、武道館で宣言してもた〜!(笑)後に引けへんやつ!
上田
上田
でも、僕は親父の意思をずっと引き継いでいきたいです。亡くなってから7年が経ちますけど、一番尊敬している親父が大きくしたものを今度は僕がどんどん塗り替えていきたいし、それが一番親父も喜んでくれることなのかなって思ってます。

互いの目に映る現在地

互いの昔を知り、今は仕事でも関わる3人。変わらないところもあれば、驚くほど変わったところもある。

上田
上田
直道さんとは仕事をご一緒することも多いですけど、レスポンスも行動もめちゃくちゃ早いんですよ。僕らもそこに甘えちゃうぐらい。
さらにツアーでは演奏して、車も運転して、裏側の仕事もやってる。あのバイタリティーは、普通じゃ考えられないですね。
清水
清水
二人ともすごいのは、ずっと第一線でやってること。特に松ちゃんは、休むことを知らんのかなっていうぐらい真っ直ぐ。松ちゃんって、昔から曲がったことが嫌いでしょ?
松下
松下
うーん……曲がったことばっかりやってきたけどね。
清水
清水
いやいや(笑)
でもほんまに、エネルギーも追求心もすごいと思うよ。
松下
松下
佑吏は今でこそ人前に出ることも多いけど、子どもの頃はおとなしい子やったよね。お父さんがお父さんなだけに、周りの人からいじられまくってて。だからなのか、今ではツッコミの間合いとかも完璧やもんね(笑)
2代目として期待される立場やし、ホンマに大変やと思う。でもやっぱり、吸収力も成長もすごいよ。
上田
上田
同世代と比べたら、いろんな経験をさせてもらっているとは思うんです。でも、逆に自分で0から1をつくったわけではないので……。だから次は、自分で何かを立ち上げたい。それが今の目標ではありますね。まだまだ未熟なので、働いてる周りの仲間たちに支えてもらいながら勉強中です。
松下
松下
しみっぺは、こんな見た目ですけどクソ真面目なんよね。仕事に対しても、料理に対しても。
清水
清水
こんな見た目って!(笑)
松下
松下
「どこでこんなん学んだんやろ?」って思うこともあるほど、料理は見た目もきれいで味も間違いない。さすがですよ。
普段は無口やけど、仕事のときはムードメーカーでもあったりして。昔からみんなに愛されるタイプなところは、変わってないなぁ〜。


こうして3人のトークはまだまだ止まらず、場所を移して第2ラウンドがスタート。

次回は、3人がそれぞれの現場で生み出している「場」に注目。ライブハウスと飲食店に流れる“いい空気”の正体を探る。

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